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【色選びの極意 フリーランスインタビュー】最も印象に影響するのは、形でも動きでもなく「色」!「色選びのセンス」について、徹底解剖!!

【色選びの極意 フリーランスインタビュー】最も印象に影響するのは、形でも動きでもなく「色」!「色選びのセンス」について、徹底解剖!!

皆さん、こんにちは。皆さんは、「配色」や「色のセンス」について悩んだことはありますか?今日はフリーランスのエフェクトデザイナーで、現在クリーク・アンド・リバー社クリエイティブ・アカデミーエフェクトコースの講師も担当している、雨宮悠介さんにお話を伺いました!

色彩に並々ならぬこだわりを持つ雨宮さんに、配色にまつわる質問や、エフェクトと色選びについてなど、詳しく語って頂きました!

◆雨宮悠介 フリーランスのエフェクトデザイナー
アニメや海外映画を始め、コンシューマーゲーム、スマートフォンゲームなど幅広いメディアでエフェクト制作を続けて18年のベテラン。たまたま参加したクリーク・アンド・リバー社開催の「【遊技塾】バカ・アフターの中の人によるAfter Effects技術セミナー」がきっかけで、2018年からクリエイティブ・アカデミーエフェクトコースの講師を担当。
―― 今日は「配色」や「色の選び方」についてお話を伺いに来ました!まず、色ってどうして大切なんですか?

色、形、動きなど、印象を決める要素は色々あります。そんな中でも一番大切なのは「色」なんです。以前子供向けのゲームを作ったことがあるのですが、UIデザイナーと「押したくなるボタン」について話していたとき、面白いことを聞きました。

生まれたばかりの赤ちゃんに様々な色、形、動きのボタンを見せると、形でも動きでもなく「赤い色」を感覚として押すんだそうです。赤が一番気になる色だから、赤を押す。色は本能的に植え付けられているものなので、最も印象に影響するんですね。

―― なるほど!赤ちゃんが赤い色を選ぶという例は説得力がありますね。それでは、特に色選びのセンスが良いと感じているクリエイターや作品はありますか?

個人的な意見ですが、アニメ映画監督の新海誠さんの作品は、色の表現、特に発色がとても良いと思っています。光の使い方がとても上手い。夕陽の表現や色使いが本当に巧みです。

―― とても精緻な背景を描かれる方ですよね。

はい。ここまで綺麗な発色は現実の風景でもあり得ない、現実よりも綺麗な発色だという印象があります。新海誠さんの作品も、やはり色の選び方が一番印象を左右しているのではないでしょうか。自分は、色があるものは全て色が一番影響すると思っています。

何かをデザインする上で一番大切なポイントです。逆に色が合っていないものは、どんなに形や動きを変えても良いものには仕上がりません。自分が制作するエフェクトも同じ。色を固めてから形や動きを調整するのが理想で、アカデミーの受講生たちにもそのように教えています。

―― 絵を描いたりするときも、細かい描写より色合いの良い配色でザクザク塗れていた方が、ラフでも一気に完成度が高く見えたりしますよね。そのベストな配色を見つけるのがとても難しいのですが…。

そうなんですよね!実は昔油絵の絵画教室に通っていて、最初はシルエットでモチーフを描こうとしていました。そこで先生に、シルエット(=形)を描くよりも、色をベタベタ置いていった方が良いとアドバイスされました。

その点で、新海誠さんの色選びはとてもうまい。小さいサムネイル画像で見ても「綺麗だな」と感じるものは、つまりは配色が上手いということだと思っています。

―― では反対に、「良くない配色」「いまいちイケてない配色」ってどんなものでしょうか?

そうですね…例えば、アナログからデジタルに移行した漫画家やイラストレーターのカラー作品が、急にイマイチになったと感じたことはありませんか?その「イマイチさ」には色の幅が関係しています。

CGになった途端色味が画一的になってしまい、アナログの際に出せていた色の深みや幅が失われて、おかしな配色になってしまう…これはよくあるパターンです。だからといってアナログが良くデジタルが悪いという訳ではなく、そのクリエイターがどちらに向いているか、の違いだと思います。

―― 色の幅、ですか!色選びに悩む人は多いと思うのですが、どうしたら色幅を増やしてセンスを磨けるのでしょうか?

よくアカデミーの受講生には、「自分で色幅を持たせられているつもりでも、実際は思っているよりも色幅がない」と認識すること、をアドバイスしています。例えば炎のエフェクトを作っているとき、何度も「赤だけでなく違う色も使ってみて」と教えても、「赤と赤寄りのオレンジ」程度しか使えない…ということがよくあります。

それは一般的に見たらほとんど同じ部類の色なので、色幅を広げるには不十分です。そういうときは色相環を見せながら話をするようにしています。色相環
■色相環
http://zokeifile.musabi.ac.jp/%E8%89%B2%E7%9B%B8%E7%92%B0/
色と温度の関係
■色と温度の関係
http://butsudori.info/camera-about/iroondo.html

「色温度」という概念をご存知でしょうか?炎に関して言うと、温度が高くなるにつれ、色が青くなっていき、徐々に白になり、温度が低いと赤くなっていく。炎だけでもこれだけの色幅があるのです。青いガスバーナーの温度は高く、赤いキャンプファイヤーの温度は低いと想像するとわかりやすいですね。色幅を出すと温度の幅も広く見えます。

こうした色の物理現象を考えると色幅を広げやすくなります。炎のエフェクトは、高温の中心が青白く、外に行くほど赤い。まずはこの色幅を作れるようになると良いですね。

―― 「リンゴは赤い」というように、炎=赤という先入観にとらわれてしまう人が多いということですね。

はい。そういうときは自然現象に立ち返り、そこから考えるようにすると良いと思います。エフェクトの場合は自然現象を元に制作することも多いので、特に大切です。

―― それでは、色幅を増やしながらも、良い配色になるよう色を選ぶコツなどはありますか?例えば同じ赤でも、何百通りもの赤があると思うのですが…。

色には、「色相・彩度・明度」の三つの属性があります。良い色合いを選ぶには、「一軸だけをずらす」のがポイントです。

カラーパレット
■カラーパレット
https://howto.clip-studio.com/library/page/view/illuststudio_tora_color_061

例えば赤い色の影色を選びたいときは、彩度と色相は同じまま明度を下方向に下げると自然な影色になります。同じ要領で、明度と色相は保ったまま彩度だけ左右に動かしたり、彩度と明度は同じまま色相だけ動かしたりすると、馴染みの良い色を選ぶことができます。グラデーションを作るときなども、この考え方で色を選ぶと上手くいくことが多いです。

―― 乗算やオーバーレイのような効果を乗せると色が変わってしまいますが、それも見越して色を選ばなければならないのでしょうか…?

乗算や加算を合わせると、どんどん複雑怪奇になっていきますね(笑)。彩度と明度の一軸だけ動かすと色を合わせやすい、というのは合成の方式が変わったとしても同じですが、ここに色相も加わってくると更に複雑になります。

あとは実際に色を置いてみて相性を見たり…。合わせやすい色ばかり使っていると、先ほどの色の幅も狭くなりがちなので、バランスが難しいですね。

―― それでは、ここからは雨宮さんの専門でもある「エフェクトと色」について聞いていきたいと思います。コンシューマーゲーム、ソーシャルゲームなど、プレイする画面サイズや液晶の違いは配色に影響するのでしょうか?

そうですね。コンシューマーゲームの場合、PCでエフェクトを作ってもプレイするのはテレビなので、どうしても色の違いが出てしまいます。何を信じたらいいの?ってなりますよね(笑)。

一つ基準を決めるために、マスモニターというベースとなる液晶テレビを開発現場に置いています。元々は放送業界用語なのですが…きちんと色が出る液晶テレビです。

―― そのモニターで都度確認していくんですね。印刷の色校みたいなイメージでしょうか?

まさにそんな感じです!マスモニターの良いところは、カラープリセットを設定できるところで、PCで設定したものをそのまま設定出来て、色ムラがない。簡単に言うと高性能な液晶です。

―― プリセットって何ですか?

カラー設定によって印刷の色が全然違うのと一緒で、色をどんな風に出力するか、どのカラーバランスを使うか、という設定がテレビにもあります。それをマスモニターでも調整できる、ということです。

例えばコンシューマーなら、お客さんの持つ中でも最も平均的なテレビを選んで使用します。ソーシャルゲームも同じで、一番使われている端末をピックアップします。iPhoneとかですね。サイズに関しては、そこまで色は影響を受けません。

―― イメージとしては、コンシューマーゲームの方が画面が大きくハイポリなので、配色も凝れるのでは?という気がしていました。ソーシャルゲームの方が色数を絞らなければならないのかな、とか。

確かに4Kテレビなどになると、コンシューマーゲームの方がたくさん色を使えますが、そこまで違いはないと思います。最近のスマートフォンはとても性能が良くて、下手なテレビより発色が良かったりもするので…。

―― 雨宮さんご自身は、どんな印象の配色が得意ですか?よく企業のブランディングなどで、「青は知的・クール」「赤は情熱的でエネルギッシュ」など色々ありますが…。

もうエフェクト制作を続けて18年経つと、得意不得意を気にしない域に入ってきています(笑)。若い頃は爆発のエフェクトが好き、など好みもありましたが、今は逆に得意だったものも均等化されて商業化されたなー、と。

そんな中でも、山や空といった自然が好きなので、自然に近いエフェクトや海、空、緑などは好きです。さっき爆発が好きと言っておいてなんですけど(笑)。

ただ、いつも心掛けているのはやはり色の幅で、「差し色」の表現です。赤ベースに青を入れたりして、色幅を持たせるのは得意な方だと思います。7:3という黄金比がありますが、それを目安に「ベース7:差し色3」で色を入れると良くまとまる気がします。アカデミーの受講生に教えるときも、そういった指針があるとわかりやすいようです。

―― 7:3はわかりやすくて良いですね!先ほど商業化された、と仰っていましたが、クライアントからのオーダーを実際の配色に落とし込むときは、どんな風に考えていくのでしょうか?

ゲームならそのゲームの世界観があるので、世界観の色を認識するのが重要だと思っています。ビビッドでポップな世界なのか、少女漫画のような淡い配色の世界なのか、まずはコンセプトアートなどから配色を認識します。明るい世界なのか暗い世界なのか…明るい世界なら白を使おうか、暗い世界なら明度を落とそうか…などなど。悪い世界なのか正義の世界なのか、悪い世界なら黒や紫、正義なら青、緑、黄色など。それによって配色を考えていきます。

ただ、最近はトリッキーな世界観もあり、淡い雰囲気で正義の世界観なのに、暗い配色…みたいなものが増えています。少しひねりのあるものが流行っていて、魔法少女モノでもモチーフ自体は明るいのに暗い設定があったり…。

―― 『魔法少女まどか☆マギカ』みたいな(笑)。

そうそう(笑)。そんな世界観だったら、暗い設定をのぞかせるような配色にしつつ、ピンクや水色などを入れていって、それが動きや形にも影響していきます。正義の世界なら星をキラキラさせるけど、暗い世界観なら星の形を意味深にしてみたり。丸いけど中に何か黒いモヤがかかっているようにするとか。ミスマッチな世界観に応じて、違和感を感じさせるようなデザインにします。

また、色だけでなく形、動きを全て合わせて世界観を再現しようと心掛けています。形や動きにも色々あって、丸い形なら安心、尖った三角なら緊張と危険、とか、ゆっくりした動きは安心感、早い動きだと危険感を与える、とか。全ての要素で緩急をつけていくと、トリッキーな世界観も表現することが出来ます。

逆にベタな正義、明るい世界の場合は王道な動きにするため、不協和音的な動きは全て排除します。

―― すごく面白いですね!今度からエフェクトを見るとき、色、形、動きを逐一気にしてしまいそうです。それでは最後に、雨宮さんが配色を考えるときやエフェクトをデザインするとき、活用しているツールやインスピレーションの源を教えてください!

配色に関しては、RGBが数値で出てくるカラーツールを使ったりします。「原色大辞典」とかですね。インスピレーションの源という意味では、PinterestGoogle画像検索で参考になる画像を探したりします。

でも、見すぎると似たような画像ばかり出てきて見飽きてしまうので、最近はArtStationという海外クリエイターの投稿サイトをよく見ています。ここは最初見つけたとき結構テンションが上がりました(笑)。プロのクリエイターたちが、仕事探し目的も含めて自分の作品を発表しているので、かなりクオリティの高いものが色々見られます。こういうところで色んなものを眺めて日々制作しています。

―― 雨宮さん、ありがとうございました!
フリーランスデザイナー
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